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欧州連合 意匠

2003年

4月1日

■欧州共同体意匠規則
   Council Regulation (EC) No6/2002 of 12 December 2001 on Community designs

3条(保護対象)  

 意匠とは,製品全体又は部分の外観であって,当該製品自体及び/又はその装飾の,特に線,輪郭,色彩,形状及び/又は素材の特徴に由来する外観をいい,「製品」には,あらゆる工業品又は手工芸品,とりわけ,1 個の複合製品に組み立てることを意図した部品,包装,表装(get-up),グラフィックシンボル,タイプフェイスが含まれる。
 ※ わが国の意匠法のように,物品性が要求されないため,グラフィックシンボルのみも保護対象とされており,この中には,図形商標や図案化文字商標も含まれる。
 図案化文字商標について出願するときには,製品名を「Logos」と記載する。
 

4条, 5条(相対的新規性)  

 共同体意匠と同一の意匠が出願日(優先日)前に「公衆の利用」に供せられていないときは,新規性があるとみなされる。重要でない細部において違う場合は,同一の意匠の範疇に含まれる。

4条, 6条(独自性)  

 共同体意匠が「情報に通じた使用者」(*1)に与える全体的印象が,出願日(優先日)前に「公衆の利用」に供せられた意匠と異なっているときは,独自性があると判断される。
 但し,独自性を評価する場合には,当該意匠の開発における「意匠創作者の自由度」(*2)を考慮しなければならない。
 ※ 図形商標等が情報に通じた者からみて,従来からある意匠・商標とその全体的印象が異なれば,他の保護要件を満たすことを条件に保護される。
(*1) 詳細に細部を見分ける能力のある意匠の専門家ではなく,むしろ,その製品に精通している者をいう。例えば,ウェイトレスが新しいカフェテリアを,既存のカフェテリアとの関係で前にどこかでみたことがあるとして判断するであろうか?(UK Patent Office HP)
(*2) その外観が機能に基づくものでなく,また,Must Fit でもない場合には,意匠創作者の自由度があると判断される」旨の説明がある。(UK Patent Office HP)

 

7条(新規性及び独自性喪失の例外)  

 意匠が,登録後の公告その他で公示され,展示され,取引において使用された等の場合には,当該意匠は新規性(5条)及び独自性(6条)との関係において公衆の利用に供せられていたものとみなされる。
 しかしながら,欧州共同体内で事業を営む当業者にとってビジネスの通常の過程で合理的に知り得なかった場合には,公衆に利用可能となったものとはみなされない。
 出願日(優先日)前12ヵ月以内に意匠創作者もしくはその承継人の行為又は提供した情報に起因して公衆に利用可能となった場合には,新規性及び独自性を喪失しない。
 ※ ブロック体の文字商標は,新規性がないので保護されない。図案化文字商標や図形商標は,図案化した部分や図形部分に新規性があり,他の保護要件を満たせば保護されることになる。  

8条(技術的機能によって定められた意匠及び相互連結の意匠)  

 技術的機能のみによって定められた製品の外観の特徴には,意匠権による保護は認められない。
 ※ ある機能を追求した場合に,他の意匠も考えられる場合(代替意匠が考えられる場合),機能的でないと言えるか否かについては,欧州司法裁判所で判断される。

(機能的立体商標に関する絶対的拒絶事由)
 Philips 社の立体商標(髭剃りのヘッドの形状)に関する事件で,代替形状の存在を立証するのみでは同項の拒絶・無効理由は解消しないと,欧州司法裁判所で判断されている(In Case C-299/99 Koninklijke Philips Electronics NV v. Remington Consumer Products Ltd. June 18, 2002)。
 いずれか一方の機能を発揮させるために機械的に相互連結する製品の外観には意匠権による保護は認められない(Must Fit排除の規定)。プラグのソケットとの勘合部分は,相互連結の意匠(Must Fit)に該当する。
 但し,モジュラーシステム内(Modular System/構成単位)の相互に交換可能な製品の複数の組み立て又は連結を可能にするような意匠に該当する場合には,意匠権による保護が可能である。例えば, 組立式棚,Lego 社のおもちゃブロックが該当する。Lego 社のおもちゃブロックは,その製品の主目的が勘合することにあるから保護除外の例外とされている(Lego Clause)。

 

9条(公序良俗違反)  

 公序良俗に反する意匠には,意匠権の保護は認められない。
 ※ 例:公衆を憤慨させる明白な意図をもって製品を装飾するナチスのシンボル  

10条1項  

 情報に通じた使用者に対して,登録意匠と異なった全体的印象を与えない意匠について,意匠権の保護範囲が及ぶ。
 ※ 意匠権の保護範囲を評価する場合には,意匠を開発する際の意匠創作者の自由度(機能性,先行意匠)を考慮する。保護要件の独自商標と意匠の関係性(4条, 6条)と同じ規定ぶりになっており,登録排除の範囲と権利の効力範囲が一致している。  

11条(効力)  

 登録共同体意匠権には,意匠権者に意匠を使用し,第三者が自己の承諾を得ずにこれを使用することを阻止する排他権が与えられる。すなわち,権利の性質は,独自創作にも権利の効力が及ぶ遮断効のある権利である。
 保護期間が3年間で,無方式で権利の発生する非登録デザイン権は,著作権と同様の独自創作には権利の効力が及ばない相対的な権利である。  

12条(存続期間)  

 登録共同体意匠権の存続期間は,OHIM への出願の日(優先日ではない)から5 年間であり,最長25年間まで更新できる。  

13条3項(更新)  

 更新申請は,保護が終了する月の末日前6ヵ月以内に行う。満了後6ヵ月以内は追加料金を支払うことにより更新可能。  

19条(使用)  

 「使用」には,意匠が組み込まれた又は利用された製品の製造,販売,流通,輸入,輸出若しくは使用,又は,これらの目的のためにその製品を保管することが含まれる。
 ※ 権利の効力の及ぶ地域は,欧州共同体加盟国25ヵ国(as of April 2005)  

20条(効力の制限)  

 私的かつ非商業的使用,実験目的の行為,引用又は教育目的の複製等については,権利の効力が及ばない。欧州域内消尽の考え方が適用される。
 ※ 国際消尽の考え方をとっていないので,欧州域外からの並行輸入品の輸入を阻止できる。  

22条  

 先使用権者には,権利の効力が及ばない。  

25条(先願主義)

 先行する意匠権,商標権,著作権と抵触する図形商標等は,無効請求の理由となる。  

28条(権利の譲渡)  

 譲渡の対象は加盟国全体で,欧州共同体の特定国のみの譲渡はできない。多意匠1出願で登録された意匠については,1部の意匠権の譲渡も可能。  

29条(担保)  

 登録共同体意匠は,担保の対象となる。  

32条(ライセンス)  

 特定国のみをライセンスの対象とできる。多意匠1出願で登録された意匠については,1部の意匠権のライセンスも可能である。
2 ライセンスは,独占的なものと非独占的なものがある。ライセンス契約に別段の定めがない限り,非独占的ライセンシーは,権利者の同意なしに侵害訴訟を提起することはできない。
 ※ 独占的ライセンシーは,侵害訴訟に関する通告を意匠権利者に与えたにもかかわらず,権利者が適切な期間内に訴えを提起しなかった場合,自ら侵害訴訟を提起できる。  

47条1項(審査)  

 欧州共同体商標意匠庁(OHIM)により,意匠が保護対象(定義)に該当するか(3条),公序良俗違反でないか(9条)の2 点のみについて審査される。  

1. 欧州共同体登録商標との比較  

(1) 登録共同体意匠で図形商標等を保護した場合のメリット  

 商標のように指定商品毎ではなく,製品(商品)の限定なく登録することができ,その効力も全体的印象が異ならない限り,あらゆる製品(商品)に及ぶ。
 また,商標のように,侵害の要件として,商標的使用態様での使用も要求されず,未使用でも権利は取り消されない。また,「混同」が侵害要件でないため,侵害者側からの打ち消し表示の抗弁に対しても対抗しやすい。
 存続期間が出願日から25 年間という限定があるものの,商標と比べると安いコストで幅広い保護を受けることができる。図形商標等を商品化権として利用し,さまざまな商品に意匠的に使用する場合には,そのメリットは大きい。
 英国の著名なサッカーチームであるArsenal(*3)が,図案化文字商標「Arsenal」(登録第3001160号)を英国で意匠登録している。
 ※(*3) Arsenal Football Club plc v Matthew Reed事件C-206/01)  

(2) 留意点  

 図形商標等を登録共同体商標で保護した場合と登録共同体意匠で保護した場合では,後願登録排除効,権利範囲が異なるので,あくまでも,登録共同体意匠は,図形商標等の保護としては登録共同体商標制度の補完として利用する必要がある。
 欧州共同体登録商標の場合,外観,観念,称呼が後願登録排除及び権利範囲の解釈に影響を与えるが,共同体登録意匠の場合には,外観のみである。
 欧州共同体登録商標の場合,識別力のある部分が要部となるが,登録共同体意匠の場合には,新規な部分が要部となる。
 欧州共同体登録商標の場合には,混同の可能性が侵害の基準となるが,登録共同体意匠の場合には,全体的印象が侵害の基準となる。
 先行する商標と抵触する共同体登録意匠は無効とされる。  

(3) 図形商標等の調査範囲の拡大  

 今後は,図形商標等を採択するにあたって,図形商標等が意匠として登録されているか否か,商標の調査の他に,欧州共同体登録意匠及び欧州共同体加盟国各国の意匠登録の調査が必要となる。  


2. 欧州共同体登録商標と欧州共同体登録意匠との抵触と調整
 

 わが国が,出願日を基準に権利の効力の制限規定により調整しているのと異なり(意匠法26条),権利を無効にすることにより調整している。

52条
 無効請求は欧州共同体商標意匠庁(OHIM)の無効部が管轄する。

24条,85条
 意匠権侵害訴訟における答弁(Plea),反訴(Counterclaim)においても無効を主張し,裁判所が無効を判断できる。  

25条  

 以下の場合,欧州共同体登録意匠は無効となる。
 ■意匠との関係
  先行する加盟国の出願・登録意匠,欧州共同体意匠規則の出願・登録意匠と抵触する場合。
 ■商標との関係
  先行する加盟国の商標権,欧州共同体商標規則の商標権と抵触する場合。
 ■著作権との関係 先行する加盟国の著作権と抵触する場合。  

EU 商標規則52条2 項  

 以下の場合,欧州共同体登録商標は無効となる。
 ■先行する他人の著作権と抵触する商標
 ■先行する他人の工業所有権(意匠が含まれる)と抵触する場合  

2003年4月1日から欧州共同体商標と同様にスペインの観光地アリカンテにあるOHIM(Office for Harmonization in the Internal Market/Trademarks and Designs/欧州共同体商標意匠庁)で出願の受付が正式に開始された。  

資料:

 
※「商標と意匠の関係」弁理士青木博道 Patent Vol.56 No.7 p.3-8
※「ヨーロッパ意匠法から見た日本の意匠法」弁理士青木博道 tokugikon 46 2004.3.30. no.232(pfd)
※「諸外国におけるデザイン保護の実態に関する調査研究(pfd)」知財研紀要 2005  
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