台湾商標「MIO(澪)」審決取消請求事件|newpon特許商標事務所

商標登録ならおまかせください

台湾商標 最高行政裁判所「逆混同」に関する見解

最高行政裁判所 105年(2016年)判字第465号判決

事実の概要

 本事件は,宝ホールディングス株式会社が台湾に商標登録出願した商標「澪/MIO」(以下、「本件商標」という。)の行政処分(特許庁の拒絶査定に対する不服裁判)に関する。
 台湾特許庁は、本件商標と先願登録商標「MIO(図形入り) 」(以下、「引用商標」という。)が、いずれも欧州文字「MIO」を有するので類似すると認定し、また、いずれも酒類を指定商品としており、需要者に出所の混同誤認を生ずるおそれがあるため、商標法第30条第1項第10号の規定に反するとし、拒絶査定とした。

 出願人が、訴願を経て、知的財産裁判所へ行政訴訟を提起したところ、知的財産裁判所は、訴願決定及び台湾特許庁の行政処分を取消した。
 理由は、両商標の類似の程度は低く、本件商標は出願人による商品の販売、広告宣伝等により長期に渡り使用され、指定商品についてすでに出願人の商品の識別標識となっているので、一般社会通念及び市場取引状態により、関連消費者は両商標が指定する商品の出所が同一又は同一ではないが関連するものであると区別することでできるはずであり、混同誤認のおそれは生じない、というものである。
 台湾特許庁は知的財産裁判所の判決に不服とし、最高行政裁判所へ上告した。

 
原告商品
(本件商標と引用商標)

商標登録ならおまかせください

判 旨

 最高行政裁判所は知的財産裁判所の判決を取消した。

 商標の類否

 両商標は類似する。先願主義を採用する台湾商標法は、先願登録商標が高い著名性を有していない又は関連消費者に普遍的に知られていないとしても、商標権利者は法に基づき権利を主張することができるのであり、知的財産裁判所の判決は明らかに先願主義に反する。

商標登録ならおまかせください

 逆混同について

 逆混同の審査標準は受け入れられず、先願主義によるべきである。後願商標の市場知名度により先願登録商標の商標権を損なうことは許されず、市場の公平な競争を維持するため、豊かな資金力を有する企業が販売・広告により先願登録商標を奪い取ることを防止しなければならない。

検 討

 逆混同(reverse confusion)

 「逆混同」とは、先願商標権者が市場において劣位にあり、後願商標権者が市場において優位又は著名である場合、先願商標権者が提供する商品又は役務の出所が後願商標権者によるものであるという誤った印象を消費者に生じさせ、混同誤認を招く恐れがある状態のことをいう。そして、一般消費者の認知によっては後願の商標の方がより強い印象を与え、先後願の商標に混同誤認の虞れがあり、且つ商品/役務の指定区分が同一である場合、先願に係る商標権の取消しを請求し、既に登録された商標権を消滅させることができる。

 「逆混同」とは、先願商標権者が市場において劣位にあり、後願商標権者が市場において優位又は著名である場合、先願商標権者が提供する商品又は役務の出所が後願商標権者によるものであるという誤った印象を消費者に生じさせ、混同誤認を招く恐れがある状態のことをいう。そして、一般消費者の認知によっては後願の商標の方がより強い印象を与え、先後願の商標に混同誤認の虞れがあり、且つ商品/役務の指定区分が同一である場合、先願に係る商標権の取消しを請求し、既に登録された商標権を消滅させることができる。

 ※Wisdom News“Reverse Confusion”in Taiwan – The Taiwan Supreme Administrative Court Finds it Violates First-to-file Principle (2016 Pan Zi Decision No. 465)
 ※彭学龍 商標の逆混同の理論について―「藍色暴風(青色の風)」商標権侵害事件一(知財法政策学研究 Vol.20(2008))

以 上

 地方裁判所事件についてご相談を承ります。

 個人情報のお取扱いについてホームページ利用規約↑ ページトップに戻る← 前のページに戻る