拒絶査定維持審決取消請求「牛たん/けやき」事件|NEWPON特許商標事務所

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結合商標の類似性 牛たん/けやき

知財高判2025(H07)・10・30 R07(行ケ)10050 商標権審決取消請求事件

(審決書 不服2024-5348号事件)

事実の概要

1 本件は,出願商標の拒絶査定に対する不服審判について請求不成立審決を受けたBLOOM株式会社(原告X)が、本件審決の取り消しを求めた事案である。

2 事実の概要

 (1) Xは,別紙「商標目録」記載1の商標(以下「本願商標」という。)の出願人である
  出願日    令和5年1月31日
  出願番号   商願2023-9038
  拒絶査定   令和6年1月15日(発送日)
  不服審判請求 令和6年3月31日(不服2024-5348)
  審決     令和7年3月25日「本件審判の請求は、成り立たない。」
  謄本送達   令和7年4月17日
 (2) Xは,令和7年5月15日,本件審決の取消しを求めて本件訴訟を提起した。

 (3) 本件審決の理由の要旨
 本願商標は、別紙「商標目録」記載2の商標(以下「引用商標」という。)と類似する商標であって、かつ、その指定役務は引用商標の指定役務と同一又は類似する役務であるから、商標法4条1項11号に該当する。
 すなわち、本願商標の構成部分中の「けやき」の文字部分と、引用商標の構成部分中の「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、指定役務との関係において、自他役務の識別標識として機能を果たし得るものであって、当該部分が顕著に大きく配され、取引者及び需要者に強く支配的な印象を与えるものといえることから、これらの部分を要部として抽出することが許される。
 そうすると、両者は、文字種の差異が出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるものとはいえず、「ケヤキ」との称呼、「けやきの木」との観念において共通するから、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。

当事者の主張

1 (原告の主張)
 本願商標の図形部分と文字部分は、赤黒2色でデザインされ、全体として一体性を感得させるから、図形部分から文字部分を分離して要部とすべきではない。また、指定役務である「飲食物の提供」の分野においては、「ケヤキ」の称呼を生じる名称は極めて多いから、本願商標の「けやき」との文字部分の出所識別標識としての機能は極めて弱い。
 さらに「牛たん」との文字部分についても、指定役務との関係では、取引者、需要者に、料理の種類を表示するものとして理解されるため、出所識別標識としての機能を有しない。そうすると、本願商標は、原告の登録商標である図形部分が外観・観念を支配しつつ、全体として一体感のある商標になっているから、本願商標に接した取引者、需要者に与える印象・記憶・連想は、引用商標と明らかに相違する。
 本件審決は、「けやき」の文字部分のみを本願商標の要部と認定し、「ケヤキ」との称呼の共通性に重点を置いて類否を判断した点において誤っている。

2 (被告の主張)
 本願商標の「けやき」との文字部分は、指定役務との関係で、その役務の提供の質等と関連性を有することは想定できないから、出所識別標識としての機能を有する。我が国の飲食店営業施設数は140万店程度も存在することに照らせば、この中で、「ケヤキ」との称呼を生じる名称を付したものが100店ほどあるとしても、極めて多いとは到底いうことができない。
 また、本願商標のうち「牛たん」「けやき」の各文字部分は、段や大きさを変えて表され、不可分的に結合しているものとはいえないし、飲食店における取引の実情も踏まえると、「けやき」部分のみによって簡略に称呼、観念され得るものである。
 したがって、原告の主張は失当であって、本願商標が引用商標と類似する旨の本件審決の判断は正当である。

 
本件商標
(本件商標)
引用商標
(引用商標)

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判 旨

 請求棄却。本願商標は、引用商標と類似する商標ではなく、商標法4条1項11号に該当しないから、本件審決には取消事由があるとして,原告の請求を認め、本件審決を取り消した。

 取消事由(商標法4条1項11号に関する認定判断の誤り)

 (1) 商標法4条1項11号における商標の類否判断の基準  商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、その判断に当たっては、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品又は役務の取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。
 また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されない。ただし、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合、商標の外観等に照らし、商標全体としての構成上の一体性が希薄で、取引者、需要者がこれを分離して理解・把握し、当該構成部分が独立した出所識別標識としての機能を果たすと考えられる場合など、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合には、その構成部分の一部を抽出し、当該部分を他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである(最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
 そして、上記のとおり、商標の構成部分の一部を抽出して当該部分を他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許される場合においても、分離して観察される部分の出所識別標識としての機能には自ずと強弱があるのであるから、一律に当該部分だけに着目して商標の類否を判断するのは相当でなく、当該部分の出所識別標識としての機能が弱い場合においては、他人の商標と外観、称呼及び観念の全てが一致しているときは格別、そうでないときには、他の構成部分も考慮した上で、対比される両商標が、全体として、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かを判断するのが相当である。

 (2) 本願商標及び引用商標の構成について
 ア 本願商標の構成は、左側に赤色と黒色で描かれた図形(以下「本願図形部分1」という。)を配し、その右側に三段書きで、上段に、やや小さめの文字で「牛たん」、中段に、上段よりも大きな文字で「けやき」、下段に、上段の文字よりもはるかに小さな文字で「KEYAKI BEEF TONGUE」の文字を配し(以下、これらの部分を併せて「本願文字部分」という。)、その右下に朱色で「欅」の文字の印鑑風の図形(以下「本願図形部分2」という。)を配してなる結合商標である。
 イ 引用商標の構成は、上部に白と黒で描かれた樹木と思しき図形(以下「引用図形部分」という。)、中間部に大きく「KEYAKI」の文字、同文字に付された下線の下側に、小さな文字で「JAPANESE」「CUISINE」との各文字、その下に大きく「けやきの漢字」(異体字)(以下、これらの文字部分を併せて「引用文字部分」という。)を配してなる結合商標である。

 (3) 分離観察の可否について
 ア 上記のとおりの本願商標及び引用商標の構成に鑑みれば、本願商標と引用商標の類否を判断するに当たり、本願商標については、まず本願文字部分のうち、「けやき」の文字部分、「KEYAKI BEEF TONGUE」の「KEYAKI」との文字部分、本件図形部分2の「欅」の文字部分につき、他の構成部分から抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することが許されるかが問題となるので、この点につき検討する。
 本願商標のうち、本願文字部分及び本件図形部分2と、本願図形部分1は、視覚上、右側と左側に分けられ、重なることなく配置されていることに加え、右側の本願文字部分及び本願図形部分2は文字ないしはこれに準ずるもの、左側の本願図形部分1は図形であるから、商標全体としての構成上の一体性は希薄で、取引者、需要者は両者を分離して理解・把握すると認められる。
 また、本願文字部分及び本願図形部分2のうち、本願文字部分の上段「牛たん」部分及び中段「けやき」部分の文字は、下段「KEYAKI BEEF TONGUE」部分の文字及び本願図形部分2の「欅」の文字部分に比して、顕著に大きく、明瞭に識別することができるように表示されている。これに対し、「KEYAKI BEEF TONGUE」部分の文字及び本願図形部分2の「欅」の文字部分は、取引者、需要者が注意深く観察しなければ読み取ることが困難である。そうすると、本願文字部分のうち上段「牛たん」部分及び中段「けやき」部分は、下段「KEYAKI BEEF TONGUE」部分及び本願図形部分2から独立して見る者の注意をひくように構成されているということができ、両者の構成上の一体性は希薄で、取引者、需要者は、これを分離して理解・把握すると認められる。
 さらに、「牛たん」の文字部分と「けやき」の文字部分は、二段に配され、「けやき」は、「牛たん」に比して大きめの文字で表記されているため、両者の構成上の一体性は希薄で、取引者、需要者は、「けやき」の文字部分を分離して理解・把握するといえる。 そして、「けやき」の文字部分は、ニレの落葉高木であるケヤキ(以下「本件樹木」という。)の名称として知られるものあり(甲7)、本願商標の指定役務である「飲食物の提供」との関係において、出所識別標識としての機能を一定程度有しているから、同構成部分が独立した出所識別標識としての機能を果たすと考えられ、これを本願商標の要部として、当該部分を引用商標と比較して商標の類否を判断することも許される。
 一方、「KEYAKI BEEF TONGUE」の文字部分及び本件図形部分2の「欅」の文字部分は、上記のとおり、取引者、需要者が、注意深く観察しなければ読み取ることが困難であるから、独立した出所識別標識としての機能を果たすとはいえず、本願商標の要部にはなり得ない。

 イ 引用商標については、そのうち、「KEYAKI」との文字部分及び「けやきの漢字」部分につき、他の構成部分から抽出し、本願商標と比較して商標の類否を判断することが許されるかが問題となるので、この点につき検討する。
 引用商標のうち、引用文字部分と、引用図形部分とは、視覚上、上下に重なることなく配置されていることに加え、上側の引用図形部分は図形、下側の引用文字部分は文字であるから、商標全体としての構成上の一体性が希薄で、取引者、需要者は両者を分離して理解・把握すると認められる。 また、引用文字部分のうち、「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、「JAPANESE」「CUISINE」の文字部分に比して、顕著に大きく、明瞭に識別することができるように表示されている。これに対し、「JAPANESE」「CUISINE」の文字は、取引者、需要者が注意深く観察しなければ読み取ることが困難である。そうすると、引用文字部分のうち「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、「JAPANESE」「CUISINE」の文字部分から独立して見る者の注意をひくように構成されているということができ、両者の構成上の一体性は希薄で、取引者、需要者はこれを分離して理解・把握すると認められる。
 加えて、「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、前記アで述べたとおり、本件樹木の名称として知られるものであり、引用商標の指定役務である「飲食物の提供」との関係において、出所識別標識としての機能を一定程度有しているから、同構成部分が独立した出所識別標識としての機能を果たすと考えられ、これを引用商標の要部として、当該部分を本願商標と比較して商標の類否を判断することも許される。

 (4) 本願商標と引用商標の類否
 ア (ア) まず、本願商標の「けやき」との文字部分の出所識別標識としての機能について検討する。本願商標の「けやき」との文字部分は、前記(3)アで述べたとおり、出所識別標識としての機能を一定程度有しているといえる。
 一方、証拠(甲10~12)によれば、全国の飲食店が掲載されている飲食店検索サイトにおいて、キーワード「けやき」で検索した場合には2648件、キーワード「ケヤキ」で検索した場合には289件の飲食店が該当すると認められ、全国において、本件樹木の名称を指す店名(「欅」「けや木」「KEYAKI」等)を付した飲食店は相当数存在することが認められる。そうすると、本件樹木の名称は、飲食店の店名に比較的よく使用されるものとして、取引者、需要者に知られているものと推認されるから、指定役務である「飲食物の提供」との関係において、「けやき」の文字部分の出所識別標識としての機能は弱いものと言わざるを得ない。
 そして、本願商標の「けやき」の文字は、線同士が交差する部分の一部に空白を設けた特徴のあるデザインのひらがな3文字で構成されるのに対し、引用商標の要部である「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、欧文字6文字及び筆書き風の漢字1文字で構成されており、両者は構成する文字数、文字の種類及びデザインが異なるから、外観において明らかに相違する。
 したがって、本願商標と引用商標の類否を判断するに当たっては、本願商標の「けやき」の文字部分以外の構成部分も考慮した上で、本願商標と引用商標が、全体として、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かを検討する必要がある。

 (イ) これに対し、被告は、令和2年当時、営業許可を受けた飲食店営業施設は全国に約1040万施設も存在するから(乙38)、「ケヤキ」の称呼を生じる名称を付した飲食店が極めて多く存在するとはいえないとして、「けやき」の文字部分の出所識別標識としての機能は弱いとはいえないと主張する。しかしながら、上記の営業許可を受けた飲食店営業施設の中には、インターネット上の検索サイトに登録されていないものも相当数存在すると推認されることを勘案すると、飲食店検索サイトにおいて、「けやき」あるいは「ケヤキ」との名称を付した飲食店が3000件弱掲載されていることは、本件樹木の名称が、飲食店の店名に比較的よく使用されていることを裏付けるに足りる。
 したがって、被告の上記主張は採用できない。

 イ 本願商標の「けやき」の文字部分と、引用商標の「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分の外観が相違することは、上記ア(ア)で述べたとおりである。
 次に、本願商標の「けやき」の文字部分からは、「ケヤキ」の称呼を生じるのに対し、引用商標の「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分からも、「ケヤキ」の称呼を生じ、称呼においては、いずれも同一である。ただし、本願商標の他の構成部分である「牛たん」の文字部分も勘案すれば、本願商標からは、「ケヤキ」のほか、「ギュウタンケヤキ」との称呼も生じ、この称呼については、「ギュウタン」との音の有無によって引用商標とは語感が異なるから、称呼において相違する。

 さらに、本願商標の「けやき」の文字部分並びに引用商標の「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分からは、いずれも本件樹木の観念を生じる。ただし、本願商標の他の構成部分である「牛たん」との文字部分も勘案すれば、本件樹木のほか、「牛たんを提供するけやきという名称の飲食店」との観念も生じ、この観念については、引用商標と相違する。

 ウ 以上を踏まえて、本件商標と引用商標の類否について検討するに、本願商標と引用商標は、外観において異なることに加え、本願商標から生じる2つの称呼及び観念のうち一方は、引用商標と異なる。これらを総合すると、取引者、需要者の認識において、時と所を異にして離隔的に観察した場合、本願商標と引用商標とは互いに紛れるおそれのある類似の商標であるとは認められない。

 (5) 小括
 以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標ではなく、商標法4条1項11号に該当しないから、本件審決には取消事由がある。

3 よって、原告の請求は理由があるから、本件審決を取り消す。

検 討

 本判決の結論には賛成。

 最高裁判決(氷山事件,リラ寳塚事件,SEIKOEYE事件,つつみのおひなっこや事件)を引用して、商標の構成部分の一部を抽出して当該部分を他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許される場合においても、分離して観察される部分の出所識別標識としての機能には自ずと強弱があるのであるから、一律に当該部分だけに着目して商標の類否を判断するのは相当でなく、当該部分の出所識別標識としての機能が弱い場合においては、他人の商標と外観、称呼及び観念の全てが一致しているときは格別、そうでないときには、他の構成部分も考慮した上で、対比される両商標が、全体として、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かを判断するのが相当であると判示して、
(1) 本願文字部分のうち上段「牛たん」部分及び中段「けやき」部分は、下段「KEYAKI BEEF TONGUE」部分及び本願図形部分2から独立して見る者の注意をひくように構成されているということができ、両者の構成上の一体性は希薄で、取引者、需要者は、これを分離して理解・把握すると認められる、
(2) さらに、「牛たん」と「けやき」の文字部分を対比し、「けやき」は、「牛たん」に比して大きめの文字で表記されているため、両者の構成上の一体性は希薄で、取引者、需要者は、「けやき」の文字部分を分離して理解・把握するといえ、「けやき」の文字部分は、ニレの落葉高木の名称として知られおり、指定役務「飲食物の提供」との関係において、出所識別標識としての機能を一定程度有しているから、「けやき」の文字部分が独立した出所識別標識としての機能を果たすと考えられ、これを本願商標の要部として、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許される、
(3) 引用商標の文字部分のうち、「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、「JAPANESE」「CUISINE」の文字部分から独立して見る者の注意をひくように構成されているということができ、両者の構成上の一体性は希薄で、取引者、需要者はこれを分離して理解・把握すると認められる。加えて、「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、本件樹木の名称として知られるものであり、引用商標の指定役務である「飲食物の提供」との関係において、出所識別標識としての機能を一定程度有しているから、同構成部分が独立した出所識別標識としての機能を果たすと考えられ、これを引用商標の要部として、当該部分を本願商標と比較して商標の類否を判断することも許される
と認定した上で、次のように類否判断が行われた。
(1) 本国の飲食店が掲載されている飲食店検索サイトにおいて、キーワード「けやき」で検索した場合には2648件、キーワード「ケヤキ」で検索した場合には289件の飲食店が該当すると認められ、全国において、本件樹木の名称を指す店名(「欅」「けや木」「KEYAKI」等)を付した飲食店は相当数存在することが認められるから、本件樹木の名称は、飲食店の店名に比較的よく使用されるものとして、取引者、需要者に知られているものと推認されるので、指定役務「飲食物の提供」との関係において、「けやき」の文字部分の出所識別標識としての機能は弱い、
(2) 本願商標の「けやき」の文字は特徴のあるデザインのひらがな3文字で構成されるのに対し、引用商標の要部である「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、欧文字6文字及び筆書き風の漢字1文字で構成されており、両者は外観において明らかに相違する、
(3) 本願商標及び引用商標からいずれも「ケヤキ」の称呼を生じ、称呼同一である。ただし、本願商標の他の構成部分である「牛たん」の文字部分も勘案すれば、本願商標からは、「ケヤキ」のほか、「ギュウタンケヤキ」との称呼も生じ、この称呼については、「ギュウタン」との音の有無によって引用商標とは語感が異なるから、称呼において相違するといえる、
(4) 本願商標及び引用商標からいずれもいずれも本件樹木の観念を生じる。ただし、本願商標の他の構成部分「牛たん」との文字部分も勘案すれば、本件樹木のほか、「牛たんを提供するけやきという名称の飲食店」との観念も生じ、この観念については、引用商標と相違する、
(5) 本願商標と引用商標は、外観において異なることに加え、本願商標から生じる2つの称呼及び観念のうち一方は、引用商標と異なるので、総合すると、取引者、需要者の認識において、時と所を異にして離隔的に観察した場合、本願商標と引用商標とは互いに紛れるおそれのある類似の商標であるとは認められない、
と結論した。

 商標の類否判断は、取引者、需要者の認識において、時と所を異にして離隔的に観察した場合、両商標の出所の混同が生じるか否かに基づいて判断するのであるが、時と所を異にして離隔的に観察するのであり、各商標の細部を過度に比較している感がする。指定役務との関係で「けやき」及び「KEYAKI」の文字部分の識別力が弱いと判断したことが本件審決の結論と異なったことは評価できる。

以 上

 高等裁判所・知財高裁・控訴事件裁判についてご相談を承ります。

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