インドにおける商標保護|newpon特許商標事務所

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インド(Republic of India )

 インド共和国は南アジアに位置する連邦共和制の国家であり、イギリス連邦加盟国です。BRICsの1国として注目を集めており、そのGDPは、2050年頃には中国・米国に次いで世界第3位になると予想されています。
 インドの商標制度は登録主義と共に先使用主義を採用しており、出願が競合する場合に登録が認められるのは最先に使用を開始した出願人になります(商標法34条)。つまり、登録を受けられるのはその商標についての最先の使用者です。

A. 商標登録出願(直接出願)

(1)願書の記載

 ■ 願書には、出願人の住所及び氏名(法人の場合は名称)を英語又はヒンディー語で表記する必要があります。
   一出願一商標制度を採用し、一出願で複数区分の指定ができます(法18条)。
   イギリスやシンガポールと同様に、シリーズ商標(series of trade marks)制度が採用されています(法15条)。
   使用宣誓書の提出義務 使用に基づく出願をする場合、すべての指定商品(役務)について、証拠書類とともに使用宣誓書を提出する必要があります(2017.3.16施行改正法)。
    
注(1)  商標の要部が共通し、識別力のない部分のみが異なるものを一出願に含めることができるというもの。書体の違いや色違いをシリーズとして含めることができます。  

 ■ 商標

 図形的に表現でき、かつ、ある者の商品又は役務を他人の商品又は役務から識別できる標章をいい、商品の形状、その包装、及び色彩の組合せを含みます。色の組み合わせ、ホログラムに加えて、役務商標、立体が保護の対象となりますが、色だけで外形を有しない「単色」は保護されません。
 音商標を出願する場合、最大30秒以内のMP3ファイルと楽譜を提出しなければなりません。

 ■ 指定商品・役務

 ニース協定に基づく国際分類を採用しています(7条(1))。「一般的な商品の小売り」(retail services of goods)は役務(第35類)に、「通信回線(インターネット)を通じて販売されるコンピュータープログラム」は商品(第9類)に含まれます。
 包括的な表現は認められません(例えば、「machines(機械器具)」、「electronic goods(電子製品)」)。
 一出願多区分制であり、多区分の商品・役務を指定できます(法18条)。

(2)委任状

 委任状、譲渡証、宣誓供述書形式の証拠、文書の英語への翻訳を当局へ提出する際、公証及び認証(legalization)が必要です。

(3)優先権証明書

 優先権証明書類は同時に提出する必要はありませんが、出願から2か月以内に提出する必要がありまする(規則26条)。

(4)出願公開制度

 出願商標は登録前に公開されます(法147-148条)。公開公報は発行されませんがるこの公開により商標登録局での閲覧が可能となります。言語は、英語とヒンディー語が使用されます。出願は、通常、出願日から約12か月後に公開されています。

(5)審査

 ■ 実体審査(substantive examination)

 識別力の有無、先行商標との類似性等について実体審査が行われています。先使用主義を採用しています。
 特定商品の小売りと特定商品は類似と判断されます。
 コンセント(consent)制度は採用していませんが、権利不要求制度(disclaimer)が採用されています(法17条)。審査の段階で審査官が、商標の一部について権利不要求を要求してくることや裁判の段階で裁判官が要求をしてくる場合があります。

 ■ 早期審査請求

 審査期間は約1年6か月です。早期に審査を望む場合には、早期審査請求を申請することをお勧めします。申請時期は登録証発行までに拡大されました。必要な理由を説明した宣誓書を添えて申請すれば、申請日から3か月以内に審査してもらえます。理由は、例えば、「使用する前に登録しておきたい。」です。手数料は40,000ルビー(約7万円)で、個人・スタートアップ企業・小規模企業は20,000ルビー(約3.5万円)に減額されます。

 ■ 連合商標制度

 何らかの商品若しくはサービスに係る登録商標又は登録出願中の商標が,同一又は同種の商品若しくは同一又は同種のサービスについて,同一所有者名義による他の登録商標又は登録出願中の商標と同一であり,又は所有者以外の他人が使用すれば誤認若しくは混同を生じる虞がある程に類似する場合は,登録官は,いつでも当該商標を連合商標として登録すべき旨を命令することができます(法16条(1))。

 ■ 団体商標制度(collective trademarks)

 団体商標制度を採用しています(法61-68条)。

 ■ 証明商標制度(certification trademarks)

 証明商標制度を採用しています(法70-71条)。証明商標の権利者は、直接、商品取引を行なうことはできません。また同権利者は商品の品質の証明を行う資格を有していなければならず、証明商標の使用は規則により制限されています。

 ■ 著名商標認定制度(certification trademarks)

 出願に係る商標が著名商標である旨を主張して出願することができます(法70-71条)。著名商標として登録されると、すべての商品(役務)について侵害から保護されます。申請手数料は100,000ルビー(約17万円)で、証拠書類の提出が求められます。総局のウェブサイトにてオンライン申請が可能です。

 ■ 拒絶理由への対応

 拒絶理由通知に対し、補正書、意見書を提出できます。提出期間は3か月ですが、毎月料金を支払うことによっていくらでも延長可能です。補正では、商標見本の実質的な補正や指定商品の追加はできません。通常、商標の使用日の変更もできません。拒絶理由に対しては、別途、ヒアリングを要求することもできます。
 拒絶理由が克服できない場合は拒絶査定となります。拒絶査定に対して出願人は3か月以内に、知的財産審判部(Intellectual Property Appellate Board)に対して不服審判を請求することができます。知的財産審判部は、商標登録局(Trade Marks Registry)からも裁判所からも独立した組織であり、高裁判事と経験豊富な弁理士から任命される審判官等で構成されます。この審理は最終審であり、その結果に不服でも最高裁に上告できません。
 拒絶理由が克服できたときには登録決定となります。

(6)異議申立制度

 ■ 付与前異議申立

 審査官が審査した結果、拒絶理由なしと判断して公告する「条件なし公告(accepted”)」と、審査官が審査した結果、異議申立てで格別な拒絶理由を見つけられなければ登録されうるという「条件付き公告(before acceptance”)」とがあり(法20条)、公告公報には、この「条件なし公告」と「条件付き公告」が掲載されます。
 この両制度は、イギリスやオーストラリアで採用されているものと同様です。出願日から公告日までは、通常約36月です。
 異議申立期間は公告日から3か月です(同法第21条)。所定の手数料を納付し審判官が許可すれば最大1か月の延長が可能です。異議申立中に当事者は和解することも可能です。

(7)商標権の発生・存続期間

 商標権の存続期間は登録日から10年間です。10年ごとに更新が可能です。更新手続は、存続期間満了前12か月から満了日まで更新手続が可能です(法25条)。存続期間満了後であっても、6か月以内であれば、審査官は対象商標を登録簿から抹消せずに更新手続をすることができます(同法25条)。存続期間満了後の6か月以内に更新手続をせずに登録簿から抹消された商標については、存続期間の満了日から6か月を経過し、かつ1年以内に追加料金を納付し、審査官が妥当と認める場合に、登録簿へ回復させることが可能です(同法25条)。

B. マドプロ出願

 インドは、マドリッド協定議定書(マドプロ)加盟国です(2013年7月8日発効)。したがって、マドプロに基づく国際商標出願が可能です。(2文字コード:IN)

C. リンク

 ■ インド知的財産庁  :https://ipindia.gov.in/ 
 ■ インド商標検索サイト:インド商標Journal    < "インド商標情報検索ミニガイド " >
 ■ 特許庁サイト(日本語):  インド商標法        
インド商標規則   

 (*)より正確な先行調査をするためには、インド知的財産庁にofficial searchを依頼することをお勧めします。通常7-10日かかりますが、通常政府料金の5倍を支払えば即日対応してもらえます。   

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