商標用語辞典|newpon特許商標事務所

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商標用語辞典

     

 商標登録の手続きの際には、様々な商標用語を交わすことになります。専門用語を理解するためにも、こちらでは専門的な商標用語をまとめてご紹介しています。ご参考ください。

  

打ち消し表示【Indication for Avoiding Confusion】
 他人の登録商標と同一・類似する商標を付して、商品を販売したり役務を提供するときに、商品や役務の出所を明示したり、当該他人の出所ではないことを明示すること(登録商標の出所識別機能を打ち消す表示)をいいます。打ち消し表示によって商品や役務の出所の混同が生じるおそれがなくなる場合には商標権侵害が否定されます。
役務【Services】
 役務とはサービスのことであり、他人のために行う労務又は便益であって,独立して商取引の目的たり得べきものと解されます。役務は、無形の財であり、商品に並んで、商標法施行令別表の第35類から第45類に代表的な役務が区分して定められています。

慣用商標【Commonly Used Trademark】
 慣用商標とは、同種類の商品または役務に関して同業者間で普通に使用されるに至った結果、識別力を失った商標をいいます(3条1項2号)。慣用商標は、同業者間で普通に使用されることにより自他商品等の識別力を喪失し、業務上の信用が化体されていない商標です。つまり、そのほとんどが、当初周知商標であったものが商標管理を怠ったために同業者に普通に使用されるに至ったものです。
(商標の)機能【Functions of Trademark】
 商取引において発揮される商標の働きであり、その使用によってはじめて発揮されます。最も本質的な機能として、自他商品(役務)識別機能があり、それから派生して、出所表示機能、品質・質保証機能、宣伝広告機能があります。
商標権の)効力【Effects of Trademark Right】
 商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有し(25条)、他人によるその類似範囲の使用を排除することができます(37条1号)。これが商標権の効力であり、前者を専用権、後者を禁止権といいます。
 もっとも、登録商標や商品・役務の同一性や類似性の判断は容易なものではありません。そこで、商標権の効力について、特許庁が中立的な立場から判断を示す判定制度(28条1項)が設けられています。

出所表示機能【Function for Indicating Source】
 同一の商標が使用されている商品・役務の出所が同一であることを表示する機能(出所の同一性を表示する機能)です。出所とは、商品の製造者や役務の提供者に限らず、商品の販売者(発売元)なども含まれます。
周知商標【Well-Known Trademark】
 周知商標とは、何人かの業務に係る商品または役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標をいいます(4条1項10号)。周知商標は現実に取引市場において使用されることにより自他商品または自他役務の識別力を発揮しており、法目的(1条)からして保護すべき業務上の信用が化体した商標です。
商品【Goods】
 反復して取引の対象となりうる有体物であって、運搬可能なもの。ある程度、量産可能なもの。
証明商標【Certification Trade Mark】
 いわゆる認証・証明マークです。羊毛製品に付されている「WOOLMARK」、ジャガイモ包装上の「Idaho」や「Grown In Idaho」表示、米国輸出用電気製品上の「UL」表示、自動車整備所で見られる「ASE CERTIFIED」表示は、米国特許商標庁(USPTO)に登録されている証明商標の例です。わが国の商標法にはこれに関する規定はないため、いわゆる認証・証明マークについても、通常の商標として扱われるに留まっています。
米国では、証明商標とは、「文字,名称,シンボル若しくは図形又はこれらの結合で,(1) その所有者以外の者により使用され,又は,(2) その所有者が,所有者以外の者が市場において使用することを許可する真正な意思を有し,本法に基づいて設けられた主登録簿への登録出願をするもので,商品や役務の地域的その他の出所,材料,製造方法,品質,適性若しくは他の特徴を、又は商品・役務に係る作業又は労働がある連合体又は団体の構成員によりなされていることを証明するもの」と定義されています(15 U.S. Code §1127)。
使用主義【First To Use System】
 使用主義とは、商標の使用により保護に値する財産的価値を有するに至った場合には、これを権利として保護する法制です。つまり、商標の使用が商標権の設定及び存続の条件とされる。使用主義の国では、社会に使用されている商標中、保護価値のあるものを登録して財産権として確認し、これを法的に保護するという建前がとられています。
先願主義【First To File System】
 同一又は類似の商品又は役務に使用する同一又は類似の商標について2以上の出願が競合した場合には、最先の出願人にのみ商標登録を認める主義をいいます(8条)。先願主義は異なる出願人の場合に適用されます。出願人が同一の場合には、出所の誤認混同のおそれがないからです。同日出願の場合には、出願人の協議によって定めた者が登録を受けることができますが、協議が不成立の場合にはくじによって決められます。
 先願主義に対して、現実の商標の使用を重視する先使用主義があり、米国、カナダ等で採用されています。
セントラルアタック【Central Attack】
 国際登録は、国際登録の日から5年以内に本国官庁における基礎出願が拒絶、基礎登録が取消し、無効等された場合には、当該国際登録において指定された商品及びサービスの一部について国際登録による標章の保護を主張できないことが規定されています(マドリッド協定議定書6条(3))。このことをセントラルアタックといいます。
国際登録の基礎出願・基礎登録からの従属性によるものであり、5年経過した場合には、基礎出願・基礎登録から独立し、セントラルアタックの対象から外れます。
宣伝広告機能【Propaganda Advertisement Function】
 商標が多く使用されることにより、需要者に記憶され、商品・役務の需要を喚起・増大させる機能です。換言すると、需要者が商標を記憶し、商標に一定のイメージを思い浮かべるに至り、需要者に商品購入意欲を起こさせる機能です。

団体商標【Collective Trade Mark】
 事業者を構成員に有する団体が、その構成員に使用をさせる商標。商標・役務の個別の出所を明らかにするのでなく、団体の構成員に係る商標又は役務として共通的性質を表示するもの。主体は、民法第34条の規定により設立された社団法人等(法人格を有しないものを除く)又はこれらに相当する外国の法人となります。
 地域名を付したブランド名を団体商標として登録する場合には、その商標が全国的に知られている必要があり、著名性の要件をクリアできないことが多かったため、平成17年改正商標法により、隣接都道府県における周知性を要件として登録が認められる「地域団体商標制度(Regional Organizations' Trademark System)」が導入されました。そして、平成26年改正商標法により、商工会、商工会議所及び特定非営利活動法人(NPO)が地域団体商標制度の登録主体に追加されました。
著名商標【Well-Known Trademark, Famous Trademark】
 商品・役務の域を超えて全国的に知られ多大な業務上の信用を獲得している商標をいいます。著名商標は、大きな顧客吸引力を有しているところ第三者がこれらの商標にフリーライドすると商標が稀釈化してしまうので、商標法は、他人の業務に係る商品・役務と混同を生ずるおそれのある商標の登録を排除しています(4条1項15号)。15号の規定は、出所の混同が生ずる範囲は流動的なものであり、特に経営多角化が進む社会においては、その商品等の出所について混同するおそれがあるのみならず、その他人と経済的または組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品等であると誤認し、出所について混同するおそれがある場合(広義の混同)をも含んで適用されます。
登録異議申立【Opposition】
 商標登録後の一定期間内に広く第三者が商標登録の取消しを求めることをいいます(43条の2)。商標登録の信頼性・安定性を高めるという公益的な目的を達成するために、特許庁はその登録処分の妥当性について審理し、瑕疵ある場合にその是正を図ります。
 何人も、商標公報発行の日から2か月以内に、商標登録が取消し理由に該当すると申し立てることができます。この申立は、指定商品又は指定役務ごとにできます。
取消決定をするときは、商標権者等に取消理由を通知し、意見書提出の機会を付与します(43条の12)。
 審理終了後、審判官は取消決定又は維持決定をします。取消決定に不服な商標権者は、知財高裁へ訴えを提起することができます(63条)。維持決定に不服な申立人は、無効審判で争うことができます。
登録主義【Principle of Registration】
 登録主義とは、現実の商標使用の有無を問わず、一定の登録要件を満たせばその商標を登録する法制をいいます。商標権は、設定登録により発生し、法により創設的に認められます。登録主義の下では、登録を受けるためには、現実に商標が使用されていることを要しないので、専ら他人の商標の使用を禁ずるために商標権を取得することもできますし、実質的な貯蔵商標・防護標章の登録も可能です。その結果、商標の使用を保護するために法により認められた権利が、専ら他人の使用を禁止するためのみの権利、すなわち禁止権としてのみ機能し、商標権を保護する法の目的に沿わない事態も存続し得ます。このような登録主義の弊害を防止するため、不使用取消制度が設けられています(網野著・商標法概説より)。
(商標)登録証【Certificate of Trademark Registration】
 商標権の設定登録があったとき、特許庁長官によって商標権者に対し交付される、商標登録を証するための書面をいいます(71条の2)。平成10年改正法により、特許証・実用新案登録証・意匠登録証と同様に交付されることになりました。商標登録証は、名目的なものであり、商標登録証自体に法的な効力はありません。したがって、商標権の行使に際して必要とされるものではありません。

判定【Interpretation Relating to Effects of Trademark Right】
 権利付与官庁である特許庁が、中立的な立場から商標権の効力について示すことをいいます(28条)。判定は、法的拘束力のない見解ですが、鑑定書に相当するものとして、社会的に十分尊重され、権威ある判断の1つとされています。
品質保証機能【Function to Guarantee Quality of Goods】
 同一の商標が使用されている商品の品質が同等であることを示す機能です。需要者は、一旦購入した商品に使用された商標と同一の商標が使用された商品は質的に同等であることを期待し、営業者は、その業務上の信用を維持し発展させるために、需要者の期待に応えるように努力するようになります。そうすることで、自らの信用(グッドウィル)を得られます。
不使用取消審判【Cancellation Trial based on Non-Use】
 継続して3年以上日本国内において商標権者又は使用権者が登録商標をその指定商品・役務商品について使用していないことを理由とする取消審判です(商標法50条)。使用の事実の証明は商標権者が行う必要があります。審判請求前3か月から審判請求登録(予告登録)日までの間の使用は、その使用が審判請求されることを知った後であることを審判請求人が証明した場合には、「駆け込み使用」とみなされ、正当な理由がない限り、登録商標の使用とはみなされません。
普通名称【Generic Term】
 取引界においてその商品又は役務の一般的名称であると認識されるに至っている名称をいいます。普通名称には、指定商品(役務)の固有名称のみならず、その指定商品(役務)の略称、俗称なども含まれるとされています。例えば、前者として、アルミニウムについて「アルミ」、航空機による輸送サービスについて「空輸」、後者として、塩について「波の花」、箸について「おてもと」、質屋による資金の貸付けサービスについて「一六銀行」があります。
 また、裁判所において登録商標が事後的に普通名称と認定される場合があります。これを商標の普通名称化といいます。商標権者は自らの登録商標の普通名称化を防ぐべく商標管理することが重要になります。
並行輸入【Parallel Import】
 海外で製造販売された真正な商品を現地で購入した後、総代理店などの正規の輸入ルートを通すことなく他の業者が別ルートで輸入することをいいます。古くから並行された真正な商品は商標侵害を構成しないと判断されていましたが(PARKER事件, 大阪地裁判S45.2.27同43(ワ)7003)、平成15年にわが国の最高裁が初めてその判断を示しました(フレッドペリー事件, 最高裁平成15年2月27日)。
(出願)分割【Divisional Application】
 2以上の商品又は役務を指定商品又は役務とする商標登録出願の一部を1又は2以上の新たな出願にすること、即ち、原出願を2以上の出願に分割することです。出願分割の要件は、① 出願人が同一であること、② 出願分割の指定商品又は役務ともとの出願から削除された指定商品又は役務とが同一であることです、③ 査定又は審決確定後は分割できません(10条2項)。指定商品又は役務中に不登録事由に該当するかもしれない部分が含まれている場合、確実に登録される指定商品又は役務のみを分離して別の出願にすれば、残りの商品又は役務についても登録を受ける可能性があります。
(出願)変更【Conversion of Application】
 出願内容の同一性を保持しつつ、その出願形式を変更することをいいます。防護標章登録出願の商標登録出願への変更(12条1項)、商標登録出願の防護標章登録出願への変更(65条)、団体商標の商標登録出願から通常の商標登録出願への変更及びその逆(11条1,2項)があります。出願変更の要件としては、出願人同一、出願内容同一があります。査定又は審決確定後は変更できません(10条2項)。防護標章登録出願後、自らその標章を商標として指定商品(役務)について使用する必要が生じた場合、及び通常の商標登録出願をしたが、当該商標を使用する意思がなくなったため、たとえ登録を受けたとしても、不使用による取消を受けることを免れるためなどの場合があります。
(出願の)補正【Amendment of Application】
 出願の内容を訂正・補充することをいい、特許庁に係属している間、願書及び商標見本の補正をすることができます(77条2項、17条2項)が、要旨変更は認められません。
 原則として、商標に変更を加える補正は要旨変更となります。付記的部分の普通名称等(例えば、「JIS」、「JAS」,「特許」,「実用新案」,「意匠」,商品の産地又は販売地・役務の提供の場所を表す文字)を削除する補正は原則として要旨変更でないが、付加的部分でない普通名称、品質表示、材料表示等又は質表示等の文字、図形又は記号、色彩を変更、追加又は削除することは要旨変更です。出願後、「立体商標」である旨の記載の追加、削除、「標準文字」である旨の記載の追加、削除は、要旨変更です。
 国際出願の場合、商標の補正はできませんので、国際商標登録出願にかかる商標中の付記的部分(例えば、「JIS」、「JAS」,「特許」,「実用新案」,「意匠」,商品の産地又は販売地・役務の提供の場所を表す文字)の文字や記号の削除補正は認められません。

や・ら・わ

(商標の)類似【Similarity of Trademarks】
 商品の類似は、二つの商品に同一又は類似の商標を使用した場合、取引者需要者により商品の出所が混同せられる程度に近似することをいいます。最高裁は、「商標の類否は、同一または類似の商品に使用された商標が、その外観、称呼、観念の等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきである」(最判昭43年2月27日)、「商品に同一又は類似の商標を付した場合、該商品の取引者、需要者に同一の営業体の製造又は販売に係る商品と誤認されるかどうかにより判断すべきである」(最高裁第三小法廷判昭和36年6月27日)と判示しています。したがって、商品の原料、品質、形状、用途、取引の状態等より観察し、具体的な取引の実情が考慮されます。
(商品・役務の)類似【Similarity of Goods or Services】
 商品・役務の類似は、二つの商品・役務に同一又は類似の商標を使用した場合、取引者需要者により商品・役務の出所が混同せられる程度に近似すること。換言すれば、商品に同一又は類似の商標を付した場合、該商品の取引者、需要者に同一の営業体の製造又は販売に係る商品と誤認されるかどうかにより判断すべき(最第三小判昭36.6.27) であり、商品の原料、品質、形状、用途、取引の状態等より観察し、具体的な取引の実情を考慮して決すべきです。
 審査基準では、「商品の類否を判断するに際しては、 (1)生産部門が一致するかどうか、(2)販売部門が一致するかどうか、(3)原材料及び品質が一致するかどうか、(4)用途が一致するかどうか、(5)需要者の範囲が一致するかどうか、(6)完成品と部品の関係にあるかどうか、について総合的に考慮して判断する」とあります。

 商標用語に関するご質問・ご不明点などは、弁理士にお問い合わせください。

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