newpon特許商標事務所
商標登録に対する登録無効の審判
特許庁の審査官の審査によって登録が認められた場合であっても、瑕疵ある権利が存在することがあります。審査官だけではなく、一般公衆によるチェックによって審査の確実を記する手段として商標登録の無効審判制度があります。
無効審判において請求が認められなかった者は、その審決の取り消しを求めて訴え(審決取消訴訟)を提起することができます。
商標登録無効審判
商標登録無効審判は、瑕疵ある商標登録を無効とし、商標権を遡及的に消滅させることを目的とする準司法的手続です(46条)。本審判は特許権を無効にするための唯一の手続であって、裁判所その他の機関は、特許を無効にする処分をすることはできませんが、侵害訴訟において、被告が商標登録無効の抗弁を主張することは認められています(39条)。
(1) 請求人
審判の準司法的性格により、民事訴訟法の「利益なければ訴権なし」の原則が適用されるべきであるため、法律上の利害関係人に限られると解されています(46条1項)。
(2) 無効理由
第46条1項各号に列挙された理由が無効理由となります。出願による権利を生じない者に対して商標登録がされたこと、及び後発的理由は無効理由(46条1項3,4,5号)ですが、異議申立理由ではありません。
(3)請求時期
登録後いつでも請求することができ、さらに商標権の消滅後も認められますが、私益的事由などについては登録後5年を経過すると請求できません(47条)。商標登録が過誤によってなされたときでも、一定の期間無効審判の請求がなく平穏に経過したときは、その既存の法律状態を尊重し維持するために無効理由たる瑕疵が治癒したものとしてその理由によっては無効審判の請求を認めない趣旨です。
(4) 無効審判の審理と審決
無効審判の請求があったときは、被請求人には答弁書を提出する機会が与えられます。原則として口頭審理ですが、職権又は申立てにより書面審理とすることができます。無効審判は原則として審決によって終了します。請求認容審決と請求不成立審決があり、請求認容審決(無効審決)が確定したときは、商標権は初めから存在しなかったものとみなされます(46項の2第1項)。後発的無効理由の場合は、商標登録がその理由に該当するに至った時から存在しなかったものとみなされます。商標登録そのものに瑕疵はなかったからです。
請求不成立審決が確定したときは、同一事実及び同一証拠に基づいて再び審判を請求することができません(一事不再理効)。
法律は適切に活用すれば私たちの権利を守ってくれるものです。商標として認められた権利を守るためには、権利が取消される場合についての知識を持っておくことも重要です。