newpon特許商標事務所
韓国(Republic of Korea)
韓国一部改正商標法が2014年6月11日に公布・施行されました。主な改正点は次のとおりです。(1)商標の定義
「商標」は自己の商品と他人の商品を識別するために使用する標章、「標章」は記号、文字、図形、音、匂い等であって、その構成又は表現方式に関係なく商品の出所を示すために使用するすべての表示と定義して、代表的な標章の類型を例示列挙する構成をとした。(2)不使用取消審判
不使用取消審判の請求人適格が、「利害関係人」から「何人も」に拡大された。また、取消審決が確定した場合、審判請求日まで遡及して商標権が消滅する。(3)商標権消滅後1年間の出願禁止規定削除
商標権が消滅した日から1年間は他人による同一又は類似の商標の登録が禁止される規定が削除され、1年間の期間経過を待たずに他人が商標登録を受けられることになった。(4)不登録事由の判断時点の変更
商標出願の不登録事由の判断時点が、原則として、登録可否決定時となった(著名商標の保護、信義則違反等の不登録事由の半J断は出願時)。これにより、出願時に抵触する先登録商標が存在していてもこれが登録可否決定時までに消滅あるいは出願人に譲渡されていれば、出願人は商標登録を受けることが可能。(5)条約当事国の登録商標に対する不正出願防止規定
当該規定の適用範囲が、「代理人もしくは代表者」から「共同経営・雇用等契約関係もしくは業務上の取引関係又はその他の関係にあり、もしくはあった者」に拡大された。また、「出願日前1年以内に代理人もしくは代表者であった者」という時間的制限も削除された。(6)指定商品毎の権利範囲確認審判請求
権利範囲確認審判が指定商品毎にできることが明文化された。(7)その他
商標が登録された場合、登録事項が公報に掲載され(登録公告)、不帰責事由による手続無効や登録料未納の回復期間が14日から2か月に拡大された。A. 商標登録出願(直接出願)
(1)願書の記載
■ 願書には、出願人の住所及び氏名(法人の場合は名称)を英語で表記する必要があります。住所と名称の表記はすべての出願で統一する。
■ 商標
(1) 記号・文字・図形、立体的形状若しくはこれらを結合、又はこれらに色彩を結合したもの,(2) 異なる者と結合していない色彩若しくは色彩の組み合わせ、ホログラム、動き又はその他視覚に認識できるもの,
(3) 音・においなど、視覚に認識できないもののうち、記号・文字・図形又はその他の視覚的な方法で写実的に表現したもの
■ 指定商品(役務)
ニース協定に基づく国際分類を採用している。一出願多区分出願制度を採用しているため、1つの出願において複数の区分を指定することができます。2008年9月より「包括名称」の適用範囲を拡大され、新たに279個の商品が指定商品として認定されました。これによると「第12類:輸送機械機具類」の包括表示では71個の商品がカバーされることとなり、また「第11類:冷暖房機械器具」、「第9類:電気、電磁機械器具類」、「第25類:外衣;外套;下着」といった表示が認められます。
指定商品(役務)の過剰指定を防止するため出願人の使用意思確認が要求されることがあります。
(2)団体標章制度(collective marks)
団体標章は,標識の所有者である団体の構成員の商品又はサービスを他の事業のそれから識別する標識です。「商標・団体標章又は業務標章を出願する、又は、登録を受けた者」は指定商品との関係なく同一・類似の標章を「証明標章」で登録を受けることができる (2016.9.1施行改正商標法第3条第4項)
(3)証明標章制度(certification marks)
証明標章とは,標識であって,その使用に係る商品又はサービスが,商品の出所,材料,製法,又はサービスの実行,質,正確さ,又はその他の特徴について,標識の所有者により証明されていることを表示するものをいいます。「証明標章を出願する、又は、登録を受けた者」は指定商品との関係なく同一・類似の標章を「商標・団体標章又は業務標章」で登録を受けることができる(2016.9.1施行改正商標法第3条第5項)。
(4)委任状(Power of Attorney)
提出する必要があります。出願後でも認められ、公証人の認証は不要です。(5)優先権証明書(Priority Document)
優先権を主張する場合、優先権証明書類を出願日から3か月以内に提出する必要があります。(6)審査
■ 不登録事由
出願された商標は不登録事由に該当するか否かについて審査されます。■ 暫定拒絶通知
審査官が拒絶理由を発見したときには、拒絶査定前に書面で通知され、出願人は所定期間内に意見書や補正書を提出することができます。コンセント(consent)制度:2024年4月から導入される予定
1)先登録権者(先出願人)から同意を得た場合、商標登録を受けることができる
2)共存同意により登録された商標を不正競争の目的で使用して誤認混同を生じさせた場合、当該事由の消滅日から3年以内に何人でも登録取消審判を請求できる
拒絶理由が克服できない場合は拒絶査定となり、この拒絶査定に対して不服ある出願人は拒絶査定不服審判を請求することがでる。拒絶理由が解消されれば商標登録となる。
(7)異議申立
■ 付与前異議申立
何人も、商標登録公告日から2か月以内に異議申立することができる。期間内に異議の申立てがなく、他の拒絶理由が見つからないときは、登録査定になります。(8)商標権の発生
登録決定後、別途手続なく、登録証が発行されます。商標権の存続期間は登録の日から10年間であり、10年毎に更新が可能できます。更新手続は、原則として、存続期間満了前6か月から満了日の間に行う必要があるが、6か月の猶予期間が認められています(同33,34条)。B. マドプロ出願
マドリッド協定議定書(マドプロ)に基づく国際商標出願が可能です。韓国での登録が認められると、韓国知財庁から商標登録証が送付されます。商標権の存続期間は国際登録の日から10年間です。10年ごとに更新が可能です。更新手続は、国際事務局又は基礎出願(登録)国の官庁に、原則として、存続期間満了前6か月以前に行います。
C. リンク
■ 韓国知的財産庁(KIPO):https://www.kipo.go.kr/en/MainApp?c=1000■ 韓国知的財産検索サイト(KIPRIS):http://www.kipris.or.kr/enghome/main.jsp
■ 知的財産権法サイト: 韓国知的財産権法(英語) 韓国知的財産権法(日本語)