台湾における商標保護|newpon特許商標事務所

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台湾(Taiwan)

 「商標法の一部改正草案」が2023年5月24日に総統府より公布-早期審査制度規定の追加-されました。

A. 商標登録出願(直接出願)

(1)願書の記載

 ■ 願書には、出願人の住所及び氏名(法人の場合は名称)を英語及び漢字で表記する必要があります。
   住所と名称の表記はすべての出願で統一する。

 ■ 商標

 文字、図形、記号、色彩、立体形状、動態(motion marks)、ホログラム(hologram marks)、音など、又はその結合によって構成されるものが登録されます(改正法18条)。改正後の商標法には商標権のみならず、証明標章権、団体標章権、団体商標権も含まれます(同1,2,80-94条)。
 産地の証明に用いられ、特定の品質、名声又はその他の特性を有する地理区域の商品・役務を表示するものは産地証明標章、産地団体商標として登録出願することができます。

 ■ 指定商品・役務

 ニース協定には非加盟ですが、国際分類を採用しています。一出願多区分制度を採用していますので、1つの出願書類で複数の区分の商品・役務を指定して出願することができます(同19条)。
 政府料金は、第1類~第34類では指定商品が20品目以下NT$3,000、21品目以上では1品目毎にNT$200加算されます。第35類~第45類の指定役務は一律NT$3,000、21品目以上では1品目毎にNT$200加算されます。
 指定商品が20品目以下、第35類の「特定商品の小売・卸売」役務のみ5品目以上、1品目追加する毎にNT$500加算されます。

(2)団体標章制度(collective marks)

 団体標章は,標識の所有者である団体の構成員の商品又はサービスを他の事業のそれから識別する標識です(法61条)。

(3)証明標章制度(certification marks)

 証明標章とは,標識であって,その使用に係る商品又はサービスが,商品の出所,材料,製法,又はサービスの実行,質,正確さ,又はその他の特徴について,標識の所有者により証明されていることを表示するものをいいます(法62条)。

(4)委任状(Power of Attorney)

 提出する必要があります。出願後でも認められます。査証は不要です。

(5)優先権証明書(Priority Document)

 台湾はWTO加盟国ですので、WTO加盟国(中国大陸除く)の国民は台湾出願において優先権を主張して出願することができます。優先権証明書の提出期限は台湾出願日から3か月以内です。

(6)審査

 ■ 不登録事由(同29,30条)

 出願された商標は不登録事由に該当するか否かについて審査されます。主な、不登録事由は次のとおりです。
 a 識別力のない商標(29条1項)
 b 法律又は社会に認容された道徳に反する商標(30条1項7号)
 c 外国の国旗、紋章からなる商標(30条1項2-5号)
 d 他人の登録商標と同一又は類似する商標であって、同一又は類似の商品について使用される商標(30条1項7号10,11号)

 ■ 早期審査

 出願人は、早急に権利を取得する必要がある場合(侵害訴訟による権利確認、又は既に市場に出回っている商品への対応等特殊なニーズがある場合)、事実及び理由を陳述し、早期審査費用6,000台湾ドルを納付することで、早期審査を申請することができ、審査時間は2ヵ月に短縮されると規定されている。ただし、台湾知的財産局が既に補正又は拒絶理由を通知している場合は、早期審査を利用することができない(19条8項)。

 ■ 拒絶理由通知

 審査官が拒絶理由を発見したときには、拒絶査定前に書面で通知され、出願人は所定期間(通常30日)内に意見書や補正書を提出することができます。指定商品や役務の減縮や実質的変更にならない商標の補正、登録出願の分割や専用しない旨の報告は拒絶査定前に行わなければなりません(同31条)。
 いわゆるコンセント(consent)制度を導入していますので、先登録商標の商標権者の同意書があれば、原則として類似する商標の登録が認められます。
 拒絶理由が克服できない場合は拒絶査定となります。拒絶査定に対して出願人は訴願を請求することができます。出願された商標が不登録事由(同29,30条)に該当しないときには商標登録されます(同32条)。

(7)拒絶査定への対応

 ■ 訴願

 拒絶査定に不服の場合、査定書送達日から30日以内に台湾経済部に訴願を提起することができます。
 対応方法は、① 意見書により拒絶査定に反論します。
 ② 同意書を提出します。ただし、同意が得られなかったときには、当該相手から侵害訴訟を提起されるおそれがあるので注意が必要です。
 ③ 引用商標が3年間継続して使用されていない場合は、不使用取消審判を提起し登録を取り消すことができます。

 ■ 訴願棄却の決定書への対応

 訴願棄却決定に不服の場合、決定書送達日から2か月以内に知的財産裁判所へ行政訴訟(知的財産裁判所一審)を提起することができます。
 この判決に不服の場合、最高行政裁判所二審に提起することができます。

(8)異議申立

 ■ 権利付与前異議申立

 何人も、商標登録公告後から3か月以内に異議申立することができます(同48条)。
 異議申立が確定した後の商標登録については、何人も同一事実、同一証拠・理由をもって無効審判を請求することができません(同56条)。
 なお、商標法の改正草案(2021年1月7日公表)には「異議申立て廃止」がある。改正法の公布・施行まで1-3年要すると予想される。

(9)商標権の発生

 登録査定の日から2か月以内に登録料を納付すると、登録公告され、登録証が発行されます。期間内に納付しないものは、登録公告されず、原登録査定は効力を失います。10年間の登録料はNT$7,500.00であり、2期に分けて分納することもできます。商標権の存続期間は登録公告の日から10年間です。10年ごとに更新が可能です。更新手続は、原則として、存続期間満了前6か月以前に行う必要がありますが、6か月の猶予期間が認められます(同33,34条)。

 ■ 指名的フェアユース(nominative fair use)

 税関が輸出入商品が商標権を侵害している虞があることを商標権者に通知した後、商標権者が必ずしも自ら税関に赴き侵害認定を行う必要が無いことが規定されている。商標権者が税関において「真贋判定のポイントに関する説明」の登録を完了していれば、押収された輸出入商品に商標権を侵害している虞がある場合、税関の「商標権侵害識別デジタルプラットフォーム」が提供する写真ファイルを用いて、侵害品か否かを判断することができる(75条2項)。
 また、知的財産局は、異議申し立て、無効審判の審理及び関連する救済手続き、商標権消尽の原則、機能的要素を表わす商標の登録要件等に関連する規定についても更にもう一つの「商標法の一部改正草案」において規定している。

 ■ 税関押収手続きの簡素化

 「商業取引の習慣に該当する信義誠実の原則に従い、商品又はサービスの使用目的を表示する場合であって、他人の商品又はサービスを示すために他人の商標を使用する必要がある場合」という規定により「指名的フェアユース(nominative fair use)」が権利侵害とならないことが明文化された(36条1項2号)。
 例えば、携帯電話の修理サービスを提供する店舗の看板に、各携帯電話メーカーの商標を使用して、提供するサービスに対応する携帯電話のメーカーを示している場合は、権利侵害にならない。

B. マドプロ出願

 台湾は、2002年1月1日にWTO加盟しましたが、パリ条約などその他の国際条約には加盟していません。マドリッド協定議定書(マドプロ)加盟国ではありませんので、マドプロに基づく国際商標出願を行うことができません。
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C. リンク

 ■ 台湾知的財産局 :https://www.tipo.gov.tw/mp.asp?mp=1 
 ■ 商標検索系統  :https://twtmsearch.tipo.gov.tw/OS0/OS0101.jsp
 ■ 台湾知的財産権情報サイト(日本語):  台湾商標法      台湾商標法施行規則      日台類似群コード対応表
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