原判決を破棄、知財高裁に差戻 「原審は,結局のところ,本件各発明の効果,取り分けその程度が,予測できない顕著なものであるかについて,優先日当時本件各発明の構成が奏するものとして当業者が予測することができなかったものか否か,当該構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものであるか否かという観点から十分に検討することなく,本件化合物を本件各発明に係る用途に適用することを容易に想到することができたことを前提として,本件化合物と同等の効果を有する本件他の各化合物が存在することが優先日当時知られていたということのみから直ちに,本件各発明の効果が予測できない顕著なものであることを否定して本件審決を取り消したものとみるほかなく,このような原審の判断には,法令の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ない。」(判例時報No.2446) ※論説「進歩性判断における予測できない顕著な効果の位置付け・・・」飯島 歩 ※「アレルギー性眼疾患を処置するための点眼剤事件」弁護士 高石秀樹 PATENT Vol.73 No.1 ※「知的財産判決ニュース(弁護士 生田哲郎/寺島英輔) 2019 No.11 The lnvention | |
「……Xは、その時までに、本件無効の抗弁に係る無効理由を解消するための訂正についての訂正審判の請求又は訂正の請求をすることが法律上できなかったものである。しかしながら、それが、原審で新たに主張された本件無効の抗弁に係る無効理由とは別の無効理由に係る別件審決に対する審決取消訴訟が既に係属中であることから別件審決が確定していなかったためであるなどの……事情の下では、本件無効の抗弁に対する訂正の再抗弁を主張するために現にこれらの請求をしている必要はないというべきであるから、これをもって、Xが原審において本件無効の抗弁に対する訂正の再抗弁を主張することができなかったとはいえず、その他Xにおいて訂正の再抗弁を主張しなかったことについてやむを得ないといえるだけの特段の事情はうかがわれない」。 特許法104条の4は、事実審口頭弁論終結後に訂正審決が確定したことが再審事由に該当することを理由として上告審で主張することに関して直接規定していない。特許法104条の3第1項及び104条の4の規定の趣旨は、特許権侵害訴訟における紛争の迅速かつ一回的解決の実現である。この趣旨に照らすと、無効審判又は訂正審判の確定が、特許権侵害訴訟の事実審口頭弁論終結後(判決確定前)であったとしても、そのような無効審判又は訂正審判の確定が再審事由に該当することを許容することは、紛争の迅速かつ一回的解決の要請に反する。本判決は、事実審口頭弁論終結後に、訂正審決が確定した場合、再審事由への該当性を原則として否定して、紛争の迅速かつ一回的解決の重要性を明確に示した。 ※論説・解説「特許権侵害訴訟における紛争の一回的解決」弁護士 飯村敏明・星埜正和 L&T No.80 2018/7 p.36-43 ※判決研究「事実審口頭弁論終結後に訂正審決が確定した旨の主張と紛争解決の不当遅延」京大教授 愛知靖之 L&T No.80 2018/7 p.69-78 | |
2017(H29).3.24 第二小法廷判決 H28(受)1242 マキサカルシトール事件|pdf | |
原審(知財高裁大合議判H28・3・25)が支持され,均等侵害が認められた。本判決では,均等が認められるための5つの要件のうち,第5要件(特段の事情)の考え方が医薬分野において示された。
『出願人が,特許出願時に,特許請求の範囲に記載された構成中の対象製品等と異なる部分につき,対象製品等に係る構成を容易に想到することができたにもかかわらず,これを特許請求の範囲に記載しなかった場合であっても,それだけでは,対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情が存するとはいえないというべきである。 出願人が,特許出願時に,特許請求の範囲に記載された構成中の対象製品等と異なる部分につき,対象製品等に係る構成を容易に想到することができたにもかかわらず,これを特許請求の範囲に記載しなかった場合において,客観的,外形的にみて,対象製品等に係る構成が特許請求の範囲に記載された構成を代替すると認識しながらあえて特許請求の範囲に記載しなかった旨を表示していたといえるときには,対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情が存するというべきである。』 | |
「出願理由処分と先行処分がされている場合において,延長登録出願に係る特許発明の種類や対象に照らして,医薬品としての実質的同一性に直接関わることとなる審査事項について両処分を比較した結果,先行処分の対象となった医薬品の製造販売が,出願理由処分の対象となった医薬品の製造販売を包含すると認められるときは,延長登録出願に係る特許発明の実施に出願理由処分を受けることが必要であったとは認められないと解するのが相当である。」と判示し、特許庁の上告を棄却し、知財高裁大合議判決を認容した。 | |
2015(H27).6.5 第二小法廷判決H24(受)1204 プラバスタチンナトリウム事件 |pdf | |
原判決を破棄し、知的財産高等裁判所に差し戻しました。 原判決: 物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法の記載がある場合における当該発明の技術的範囲は,当該物をその構造又は特性により直接特定することが出願時において不可能又は困難であるとの事情が存在するときでない限り,特許請求の範囲に記載された製造方法により製造される物に限定して確定されるべきである。 最高裁判決 (1) 願書に添付した特許請求の範囲の記載は,これに基づいて,特許発明の技術的範囲が定められ(特許法70条1項),かつ,同法29条等所定の特許の要件について審査する前提となる特許出願に係る発明の要旨が認定される(最高裁昭和62年(行ツ)第3号H3.3.8 第二小法廷判決・民集第45巻3号123頁参照)という役割を有しているものである。そして,特許は,物の発明,方法の発明又は物を生産する方法の発明についてされるところ,特許が物の発明についてされている場合には,その特許権の効力は,当該物と構造,特性等が同一である物であれば,その製造方法にかかわらず及ぶこととなる。 したがって,物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合であっても,その特許発明の技術的範囲は,当該製造方法により製造された物と構造,特性等が同一である物として確定されるものと解するのが相当である。 (2) 物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合において,当該特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは,出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか,又はおよそ実際的でないという事情(「不可能・非実際的事情」)が存在するときに限られると解するのが相当である。 知財高裁の上記大合議判決には、判例に反するという反対論(※)があったが、本最高裁判決においても同様なことが述べられている。 本判決は、極あたり前のことを述べているにすぎないが、山本裁判官が補足意見で述べられているように、物の発明をPBPクレーム形式で記載しない(物をその物自体の構造や特性によって直接記載する)と、かえって明確でなくなる場合があることは懸念される。 ※岡田吉美・道祖土新吾 判例評釈「プロダクト・バイ・プロセス クレームの解釈につき判断した知的財産高等裁判所特別部(大合議)判決」(特許研究No.54 2012/9) | |
2015(H27).6.5 第二小法廷判決H24(受)2658 プラバスタチンナトリウム事件 |pdf | |
発明の要旨(審査時)「物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合であっても,その発明の要旨は,当該製造方法により製造された物と構造,特性等が同一である物として認定されるものと解するのが相当である。」 | |
「特許異議申立事件の係属中に複数の請求項に係る訂正請求がされた場合,特許異議の申立てがされている請求項についての特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正については,訂正の対象となっている請求項ごとに個別にその許否を判断すべきであり,一部の請求項に係る訂正事項が訂正の要件に適合しないことのみを理由として,他の請求項に係る訂正事項を含む訂正の全部を認めないとすることは許されないというべきである。」と判示した。 この判決により、訂正請求の可否を請求ごとに判断できるかという知財高裁で判断が分かれている重要論点に結着がつきました。(例:請求項基準説に基づく知財高裁判決) | |
控訴中に3度、上告中に2度の訂正審判請求を行い、5度目の審判(請求項5についての限定減縮訂正)によって訂正が認められた。したがって、「訂正前の請求項5に係る発明には無効理由があるとして判断した判決は、「原判決の基礎となった行政処分が後の行政処分により変更された」ので再審事由があると主張したが認められなかった。 争点は、① 訂正棄却判決確定後の訂正審決の確定により、民訴法338条1項8号所定の再審事由の存在が認められるか? ② 本件訂正審決確定を理由に原審の判断を争うことは、特許法104条の3の規定の趣旨に照らし許されるか? というものである。結論としては、 ①について: 多数意見は「原判決の基礎になった行政処分が後の行政処分により変更されたものとして再審事由が存するものと解釈される余地がある」としたが、1名(泉徳治裁判官)は再審事由には該当しないとした。泉徳治裁判官は、「特許法104条の3の規定に基づく権利行使制限の抗弁の成否について行う判断は、訂正審決によってもたらされる法律効果も考慮の上で行うものであるから、訂正審決の確定は、原判決の基礎になった行政処分が変更されたということはできない」という。 ②について: 紛争の解決を不当に遅延させるものであり、特許法104条の3の規定の趣旨に照らし許されない。 ※ブログ「企業法務士の雑感」(2008-4-28) | |
キヤノン株式会社 v リサイクル・アシスト株式会社の上告審。「原審の判断は,結論において正当であり,論旨は採用することができない。」とし、知財高裁判決と理論づけは違うが、リサイクル会社の上告は棄却された。判決の要約は、やや長いが、次のとおりです。 | |
1. 特許権の消尽により特許権の行使が制限される対象となるのは,特許権者等が譲渡した特許製品そのものに限られ、特許権者等が譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされ,それにより当該特許製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたときは,その特許製品について,特許権を行使できる。 | |
2. 被上告人(C)は,C製品のインクタンクにインクを再充てんして再使用した場合には,印刷品位の低下やプリンタ本体の故障等を生じさせるおそれもあるから,これを1回で使い切り,新しいものと交換するとしており,そのためにC製品にはインク補充のための開口部が設けられておらず,そのような構造上,インクを再充てんするためにはインクタンク本体に穴を開けることが不可欠であって,上告人(R)製品の製品化の工程においても,本件インクタンク本体の液体収納室の上面に穴を開け,そこからインクを注入した後にこれをふさいでいる。このようなR製品の製品化の工程における加工等の態様は,単に消耗品であるインクを補充しているというにとどまらず,インクタンク本体をインクの補充が可能となるように変形させるものである。 | |
3. C製品は,インク自体が圧接部の界面において空気の移動を妨げる障壁となる技術的役割を担っているところ,インクがある程度費消されると,圧接部の界面の一部又は全部がインクを保持しなくなるものであり,プリンタから取り外された使用済みのC製品については,1週間~10日程度が経過した後には内部に残存するインクが固着するに至り,これにその状態のままインクを再充てんした場合には,たとえ液体収納室全体及び負圧発生部材収納室の負圧発生部材の圧接部の界面を超える部分までインクを充てんしたとしても,圧接部の界面において空気の移動を妨げる障壁を形成するという機能が害される。そして,R製品においては,本件インクタンク本体の内部を洗浄することにより,そこに固着していたインクが洗い流され,圧接部の界面において空気の移動を妨げる障壁を形成する機能の回復が図られるとともに,使用開始前のC製品と同程度の量のインクが充てんされることにより,インクタンクの姿勢のいかんにかかわらず,圧接部の界面全体においてインクを保持することができる状態が復元されているから, R製品の製品化の工程における加工等の態様は,単に費消されたインクを再充てんしたというにとどまらず,使用済みの本件インクタンク本体を再使用し,本件発明の本質的部分に係る構成(構成要件H及び構成要件K)を欠くに至った状態のものについて,これを再び充足させるものであるということができ,本件発明の実質的な価値を再び実現し,開封前のインク漏れ防止という本件発明の作用効果を新たに発揮させるものである。 これらのほか,インクタンクの取引の実情など前記事実関係等に現れた事情を総合的に考慮すると,R製品については,加工前のC製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認める。 | |
4. したがって,特許権者等が我が国において譲渡し,又は我が国の特許権者等が国外において譲渡した特許製品であるC製品の使用済みインクタンク本体を利用して製品化されたR製品については,本件特許権の行使が制限される対象となるものではないから,Cは,その輸入,販売等の差止め及び廃棄を求めることができる。 |
2006(H18).10.17 第三小法廷判決H16(受)781 補償金請求事件 職務発明(日立) |pdf | |
1.外国の特許を受ける権利の譲渡の対価に関する問題の準拠法は,法例7条1項の規定により第1次的には当事者の意思に従って定められる。 2.従業者等が特許法(H16年法律第79号による改正前のもの)35条にいう職務発明に係る外国の特許を受ける権利を使用者等に譲渡した場合における対価請求については,同条3項及び4項の規定が類推適用される。 | |
2006(H18).1.24 第三小法廷判決 H17(受)541 損害賠償請求事件 |pdf | |
特許庁職員の過失により特許権を目的とする質権を取得することができなかったことを理由とする国家賠償請求事件において損害額の立証が困難であったとしても民訴法248条により相当な損害額が認定されなければならない。 | |
2005(H17).10.18 第三小法廷判決 H17(行ヒ)106 審決取消請求事件 | |
特許無効審決の取消請求を棄却した原判決に係る事件の上告審係属中に当該特許について請求の範囲減縮訂正審決が確定したことにより原判決を破棄する場合に、上記無効審決を取消し自判をした。 | |
特許権者は,その特許権について専用実施権を設定したときであっても、当該特許権に基づく差止請求権を行使することができる。通説に対して、最高裁として初めての法律判断を示した。(判例時報No.1900,p139) | |
明細書の訂正をすべき旨の審決が確定したため、原判決には民訴法338条1項8号に規定する再審の事由があるとして原判決を破棄し、東京高裁に差し戻された事案。 ※重要判例解説(最高裁判所調査官 長谷川浩二 L&T No.23 2004/4 p.68-73) | |
2003(H15).4.22 第三小法廷判決H13(受)1256 職務発明(オリンパス光学ピックアップ装置)| pdf | |
職務発明について特許を受ける権利等を使用者等に承継させた従業者等が勤務規則その他の定めによる対価の額が特許法35条3項及び4項の規定に従って定められる相当の対価の額に満たないときに不足額を請求することができる。 消滅時効:勤務規則等に対価の支払時期が定められているときは、勤務規則等の定めによる支払時期が到来するまでの間は、相当の対価の支払を受ける権利の行使につき法律上の障害があるものとして、その支払を求めることができないる。そうすると、勤務規則等に、使用者等が従業者等に対して支払うべき対価の支払時期に関する条項がある場合には、その支払時期が相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となると解する。(判例時報No.1822,p39) ※重要判例解説 (最高裁判所調査官 長谷川浩二 L&T No.21 2003/10 p.68-74) | |
1 特許権の効力の準拠法及び特許権に基づく差止め及び廃棄請求の準拠法は,当該特許権が登録された国の法律である。 2 米国特許法を適用して,米国特許権の侵害を積極的に誘導する我が国内での行為の差止め又は我が国内にある侵害品の廃棄を命ずることは,法例33条にいう「公ノ秩序」に反する。 3 特許権侵害を理由とする損害賠償請求の準拠法は,法例11条1項による。 4 米国で販売される米国特許権の侵害品を我が国から米国に輸出した者に対する,米国特許権の侵害を積極的に誘導したことを理由とする損害賠償請求について,法例11条1項にいう「原因タル事実ノ発生シタル地」は,米国である。 6 米国特許権の侵害を積極的に誘導する行為を我が国で行ったことは,法例11条2項にいう「外国ニ於テ発生シタル事実カ日本ノ法律ニ依レハ不法ナラサルトキ」に当たる。 ※ 知的財産権重要判例をひも解く カードリーダー事件(弁護士 紺野博靖 Right Now!2004年6月号p.68-73) ※ 物の発明の「実施」としての「生産」(特許法2条3項1号)とは、発明の技術的範囲に属する「物」を新たに作り出す行為をいうと解される。また、特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められることを意味する属地主義の原則(最高裁平成7年(オ)第1988号同9年7月1日第三小法廷判決・民集51巻6号2299頁、最高裁平成12年(受)第580号同14年9月26日第一小法廷判決・民集56巻7号1551頁参照)からは、上記「生産」は、日本国内におけるものに限定されると解するのが相当である。 | |
2002(H14).3.25 第二小法廷判決 H13(行ヒ)154 「パチンコ装置」事件| pdf | |
無効審決に係る最二小判平14・2・22(H13(行ヒ)142号)を引用して,保存行為論により,特許権の共有者の一人は,特許異議の申立てに基づき当該特許を取り消すべき旨の決定がされたときは,単独で取消決定の取消訴訟を提起することができる旨判示した ※重要判例解説 (最高裁判所調査官 高部 眞規子 L&T No.17 2002/10 p.57-61) | |
2001(H13).6.12 第三小法廷判決 H9(オ)1918 特許出願人名義変更届手続請求| pdf | |
特許出願をした特許を受ける権利の共有者の一人から同人の承継人と称して特許権の設定の登録を受けた無権利者に対する当該特許権の持分の移転登録手続請求が認められた事例 ※重要判例解説 (最高裁判所調査官 長谷川 浩二 L&T No.15 2002/4 p.76-81) | |
2000(H12).4.11 第三小法廷判決 H10(オ)364 ギルビー事件| pdf | |
権利濫用の抗弁。 | |
2000(H12).2.29 第三小法廷判決 H10(行ツ)19 植物の新品種を育種し増殖する方法| pdf | |
上告棄却。育種過程における反復可能性は、科学的にその植物を再現することが当業者において可能であれば足り、その確率が高いことを要しない。 ※重要判例解説 (最高裁判所調査官 高部 眞規子 L&T No.14 2002/1 p.55-58) | |
2000(H12).1.27 第一小法廷判決 H7(行ツ)105 審決取消請求| pdf | |
甲無効審判請求がされた後に当該特許について同一の事実及び同一の証拠に基づく乙無効審判請求が成り立たない旨の確定審決の登録がされたとしても、甲無効審判請求が不適法となるものではない。 ※重要判例解説 (東京地方裁判所判事 長谷川 浩二 L&T No.19 2003/4 p.95-102) | |
1999(H11).10.22 第二小法廷判決 H10(行ヒ)43 審決取消請求事件| pdf | |
薬事法所定の製造等の承認を受けることが必要であるために特許発明の実施をすることができなかった期間 ※重要判例解説 (東京地方裁判所判事 高部 眞規子 L&T No.21 2003/10 p.75-82) | |
1999(H11).7.16 第二小法廷判決 H10(オ)604 特許権侵害予防請求| pdf | |
方法の発明に係る特許権に基づき、当該方法を使用して品質規格を検定した物の製造販売の差止めを請求することはできない。 ※重要判例解説 (東京地方裁判所判事 高部 眞規子 L&T No.20 2003/7 p.40-46) | |
1999(H11).4.16 第二小法廷判決 H10(受)153 抗プラスミン剤事件| pdf | |
いわゆる後発医薬品について薬事法14条所定の承認を申請するため必要な試験を行うことと特許法69条1項にいう「試験又は研究のためにする特許発明の実施」 ※重要判例解説 (最高裁判所調査官 高部 眞規子 L&T No.19 2003/4 p.82-80) | |
1999(H11).3.9 第三小法廷判決 H7(行ツ)204 「大径角形鋼管の製造方法」事件| pdf | |
無効審決取消訴訟の係属中に当該特許権について特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正審決が確定した場合には、当該無効審決は取り消されなければならない。 ※重要判例解説 (東京地方裁判所判事 長沢 幸男 L&T No.20 2003/7 p.59-66) | |
1998(H10).11.10 第三小法廷判決 H10(オ)1579 袴腰に切替えのある袴事件 | |
プロダクト・バイ・プロセス・クレーム特許の技術的範囲。「物の発明における特許請求の範囲に当該物の形状を特定するための作図方法が記載されている場合には,右作図方法により得られる形状と同一の形状を具備することが特許発明の技術的範囲に属するための要件となるものであり,右作図方法に基づいて製造されていることが要件となるものではない」→ 物同一説を示唆。 「しかし特許の対象を当該製造方法に限定して解釈すべき事情が存する場合には、特許の対象が当該製造方法に限定される場合があり得ることがある。」 |
1998(H10).4.28 第三小法廷判決 H6(オ)2378 単独型ガス燃焼窯による燻瓦の製造法| pdf | |
特許請求の範囲の解釈。「付近」の意義。 | |
1998(H10).2.24 第三小法廷判決 H6(オ)1083 特許権侵害差止等|pdf | |
「無限摺動用ボールスプライン軸受」事件。いわゆる均等論に関する判決。 特許請求の範囲に記載された構成中に,相手方が製造等をする製品又は用いる方法(以下「対象製品等」という。)と異なる部分が存する場合であっても, ①同部分が特許発明の本質的部分ではなく, ②同部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって, ③上記のように置き換えることに,当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が,対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり, ④対象製品等が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから当該出願時に容易に推考できたものではなく,かつ, ⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もない ときは,同対象製品等は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である(以下,上記①ないし⑤の要件を,順次「第1要件」ないし「第5要件」という。)。 なぜなら,①特許出願の際に将来のあらゆる侵害態様を予想して明細書の特許請求の範囲を記載することは極めて困難であり,相手方において特許請求の範囲に記載された構成の一部を特許出願後に明らかとなった物質・技術等に置き換えることによって,特許権者による差止め等の権利行使を容易に免れることができるとすれば,社会一般の発明への意欲を減殺することとなり,発明の保護,奨励を通じて産業の発達に寄与するという特許法の目的に反するばかりでなく,社会正義に反し,衡平の理念にもとる結果となるのであって,②このような点を考慮すると,特許発明の実質的価値は第三者が特許請求の範囲に記載された構成からこれと実質的に同一なものとして容易に想到することのできる技術に及び,第三者はこれを予期すべきものと解するのが相当であり,③他方,特許発明の特許出願時において公知であった技術及び当業者がこれから同出願時に容易に推考することができた技術については,そもそも何人も特許を受けることができなかったはずのものであるから,特許発明の技術的範囲に属するものということができず,④また,特許出願手続において出願人が特許請求の範囲から意識的に除外したなど,特許権者の側において一旦特許発明の技術的範囲に属しないことを承認するか,又は外形的にそのように解されるような行動をとったものについて,特許権者が後にこれと反する主張をすることは,禁反言の法理に照らし許されないからである。 ※ 東京高裁判決、東京地裁判決 | |
1997(H9).7.1 第三小法廷判決 H7(オ)1988 BBS事件|pdf | |
真正特許製品の並行輸入。特許権の消尽を認める理由は、(i)市場における商品の自由な流通を保障すべきこと、(ii)特許権者に二重の利得の機会を与える必要がないことである。 「我が国の特許権者又はこれと同視し得る者が国外において特許製品を譲渡した場合においては、特許権者は、譲受人に対しては、当該製品について販売先ないし使用地域から我が国を除外する旨を譲受人との間で合意した場合を除き、譲受人から特許製品を譲り受けた第三者及びその後の転得者に対しては、譲受人との間で右の旨を合意した上特許製品にこれを明確に表示した場合を除いて、当該製品について我が国において特許権を行使することは許されないものと解するのが相当である。」 国外において譲渡した場合に、その後に当該製品が我が国に輸入されることが当然に予想されるから、特許権者が留保を付さないまま特許製品を国外において譲渡した場合には、譲受人及びその後の転得者に対して、我が国において譲渡人の有する特許権の制限を受けないで当該製品を支配する権利を黙示的に授与したものと解されるからである。 | |
1992(H4).4.28 第三小法廷判決 S63(行ツ)10 高速旋回式バレル研磨法事件| pdf | |
特定の引用例から当該発明を特許出願前に当業者が容易に発明することができたとはいえないとの理由により、審決の認定判断を誤りであるとしてこれが取り消されて確定した場合には、再度の審判手続に当該判決の拘束力が及ぶ結果、審判官は同一の引用例から当該発明を特許出願前に当業者が容易に発明することができたと認定判断することは許されないのであり、したがって、再度の審決取消訴訟において、取消判決の拘束力に従ってされた再度の審決の認定判断を誤りである(同一の引用例から当該発明を特許出願前に当業者が容易に発明することができた)として、これを裏付けるための新たな立証をし、更には裁判所がこれを採用して、取消判決の拘束力に従ってされた再度の審決を違法とすることが許されない。(民集46巻4号245頁) | |
1991(H3).3.19 第三小法廷判決 S62(行ツ)109 審決取消| pdf | |
特許請求の範囲の記載文言自体は訂正されていなくても発明の詳細な説明及び図面の訂正により特許請求の範囲の減縮があったとされる場合。 | |
1991(H3).3.8 第一小法廷判決 S62(行ツ)3 リパーゼ事件| pdf | |
特許の要件を審理する前提としてされる特許出願に係る発明の要旨の認定は、特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとか、あるいは一見してその記載が誤記であることが発明の詳細な説明の記載に照らして明らかであるなど、発明の詳細な説明の記載を参酌することが許される特段の事情のない限り、特許請求の範囲の記載に基づいてされるべきである。(民集45巻3号123頁) | |
1986(S61).10.3 第二小法廷判決 S61(オ)454 「ウオーキングビーム式加熱炉」事件| pdf | |
先使用権の効力は、特許出願の際(優先権主張日)に先使用権者が現に実施又は準備をしていた実施形式だけでなく、これに具現された発明と同一性を失わない範囲内において変更した実施形式にも及ぶ。 | |
1981(S56).3.13 第二小法廷判決 S53(行ツ)140 「ブタジエン重合方法」事件| pdf | |
分割して新たな出願とすることができる発明は、もとの出願の願書に添付した明細書の特許請求の範囲に記載されたものに限られず、その要旨とする技術的事項のすべてがその発明の属する技術分野における通常の技術的知識を有する者においてこれを正確に理解し、かつ、容易に実施することができる程度に記載されている場合には、右明細書の発明の詳細な説明ないし右願書に添付した図面に記載されているものであつても差し支えない。 | |
1980(S55).12.18 第一小法廷判決 S53(行ツ)101 「半サイズ映画フィルム録音装置」事件| pdf | |
大正10年法に関するものであるが、最判昭和56・3・13判時1001号41頁[ブタジエン重合方法]と同様の内容を判示。 | |
1976(S51).5.6 第一小法廷判決 S45(行ツ)32 審決取消請求| pdf | |
審判における手続的瑕疵は、一般的にみて審決の結果に影響を及ぼすものと認められる場合には、審決の結論に影響を及ぼさないことが明らかであると認められる特段の事情がない限り、審決取消事由となる。(裁判集117巻459号574頁,判時819号35頁) | |
1976(S51).3.10 大法廷判決 S42(行ツ)28 審決取消請求| pdf | |
特許無効の抗告審判で審理判断されなかった公知事実との対比における特許無効原因を審決取消訴訟において主張することは、許されない。(民集30巻2号79頁) ※ メリヤス編機事件 vs シェトワ事件 | |
1973(S48).4.20 第二小法廷判決 S47(オ)395 特許権の通常実施権設定登録請求| pdf | |
特許権者から許諾による通常実施権の設定を受けても、その設定登録をする旨の約定が存しないかぎり、実施権者は、特許権者に対し、右権利の設定登録手続を請求することはできない。 |