⑴ | 立体的形状を平面図形(斜視図や展開図等)として商標登録を得ている事例も少なくなく、また、商品の形状を「商品表示」として不正競争防止法上の保護を求める訴訟も多数存在しているなど、立体商標に対する保護のニーズが現実に存在している。 |
⑵ | 立体商標についても権利を付与するのが国際的な趨勢となってきている。 |
<商標法3条1項3号(産地・販売地・品質等表示)> | |
⑴ | 商品若しくはその包装又は役務の提供の用に供する物の立体的形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は、識別力を発揮することができないので登録されません。 商品の形状には、商品の立体的形状も含まれ、商品の包装の形状(例えば、指定商品が洋酒の場合のその瓶の形状)も商品の場合と同様に扱われます。さらに、役務の提供の用に供する物には、その外観を立体的形状として表したものも含まれます。 |
⑵ | 立体的形状についての「普通に用いられる方法で表示する標章」については厳格な運用を行うことが工業所有権審議会の答申で求められています。すなわち、当該立体商標について全体観察した場合に、需要者によって、商品の形状、商品の包装の形状又は役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識されるにすぎない商標は、識別力を発揮することができないので登録されません。 (※審査便覧41.100.2 立体商標の識別力の審査に関する運用について) 識別力を有しない立体的形状と識別力を有する文字・図形等との結合からなる商標について、商標全体として識別力を有する場合は、立体商標として商標登録され得ます。この場合、立体的形状部分には識別力がないのですから、登録後においても当該立体的形状部分に基づく商標権の権利行使は認められません(法26条1項柱書きの括弧書)。 |
<商標法4条1項18号(立体商標特有の登録阻却事由)> | |
⑴ | 上記のように商品の形状や商品の包装の形状そのものの範囲を出ないと認識されるにすぎない立体商標は登録を受けることができませんが、これらの商標であっても使用された結果識別力を獲得するに至った場合には、登録を受けることができます(法3条2項)。しかしながら、このような商標であっても、その商品又は商品の包装の機能を確保するために必ず採らざるを得ない不可避的な立体的形状のみからなる商標については商標登録を受けることができません。 |
⑵ | 商標権は存続期間の更新を繰り返すことによって半永久的に所有できる権利ですから、このような商標について商標登録を認めることとすると、その商品又は商品の包装についての生産・販売の独占を事実上半永久的に許すこととなり自由競争を不当に阻害するおそれがあるからです。また、このような立体的形状は特許法や意匠法で保護され得るからです。 |
(イ) | 立体商標は、原則として、それを特定の方向から観た場合に視覚に映る姿を表示する平面商標(近似する場合を含む。)と外観において類似する。 |
(ロ) | 特定の方向から観た場合に視覚に映る姿を共通にする立体商標 (近似する場合を含む。)は、原則として、外観において類似する。 |
(ハ) | 立体商標は、その全体ばかりでなく、原則として、特定の方向から観た場合に視覚に映る姿に相応した称呼又は観念も生じ得る。 |